こんにちは。
私事ですが、つい最近ブラック研究室から移動することに成功しました。
以前、学校内で困っていることがある場合は、人権センターに相談する方法があるという記事を書きました。
参照:ブラック研究室に配属されたときの対処法|どんな手を使っても逃げる
実は、この記事を書いているときに、ブラック研究室が嫌になって人権センターに相談していました。
今回は、人権センターにどのように相談したのか、なにをしてくれるのかということについて書きたいと思います。
また、これは私たちの大学の話ですので、他の大学でも同様に話が進むというわけではありません。ご注意ください。
もくじ
なぜ人権センターに相談しようと思ったのか
人権相談センターに相談しようと思ったきっかけは様々なものがあります.
人間関係が悪いとか研究つまらない忙しいとかそういったわけではなく、下記のような事項を外部から介入して解決してほしいと考えたからです。
時間の無駄
学部4年生から本格的に研究を始めて最も不毛に感じていたことは無駄な時間の多さです.
例えば研究室にあるパソコンの管理や、自分が全く関係のない仕事、 教授の機嫌次第で内容が変わってしまう研究班会議、前回決まった内容を再びやり直すディスカッションなど様々な無駄がありました。
こちらから費やした時間に対して返ってくる成果が少ないのではないか、これだけの時間があったのならもっと何か出来たのではないか、あるとき ふ と疑問に思ってしまいました。
就活を邪魔される
研究室に配属されてからはやはり研究室のOBの方と話す機会があります。
OBの方から聞いた話によると、どうやらうちの研究室は、就活の時期にもかかわらず研究活動の方を優先させるとのことでした。
全員が全員、ドクターに進むわけではないのですから、就活の時期においても研究を強要させるのは腑に落ちませんでした。自分の将来に大きく関わることなので、これも非常に不安に思っていることでした。
教授を信用できない
私たちの研究室以外にも、いわゆる活動時間が長すぎるタイプのブラック研究室というのは存在していました。
研究室内で活動している内容についても、私たちの研究室とあまり変わりがないんじゃないかと思うこともありました。ですが、その研究室の学生たちは自分がブラック研究室に属しているとは感じていないようです。
この認識の最大の違いは、研究室の教授を信用できるかどうかというところに基づくことがわかりました。
その研究室の学生たちは、教授の考え方や方針、その性格について、付いていきたいと考えている節があります。
一方私たちの研究室は、教授のことを信用している人は誰もおらす、教授が変なことを言っていると思っていてもとりあえずついていくという空気が出来ていました。
研究室のことについて考えた時に、教授が信頼できるかどうかというのは非常に大きなターニングポイントになりました。
人権センターに相談するには
上記のような理由から、本気で研究室の移動を考えていた私たちは、人権センターへ連絡を取る手段を探しました。
調べたらわかりますが、だいたいの場合、相談したいときは、電話かメールを送ることで連絡を取ります。正直電話はハードルが高いと思ったので、何人かで相談しながらメールを出すことにしました。
メールを出してから折り返しの連絡はかなり早く、次の日には返信が来ました。
返信の内容は、向こうが空いている日と、こちら側の空いている日程を決めて、向こうのオフィスがある場所までこちらが出向いて面談を行うという内容でした。
人権センターで面談することに
私たちが送信したメールの内容には、研究室一同として、研究室に問題があることを訴えました。ですが実際に面談を行うのは、大人数では困るため代表者の二人だけ出向くという話になりました。
僕を含めた代表者2人と、人権センターの開いている時間を合わせて、いよいよ面談することが決定しました。
何を話せばいいかがわからなくならないように、今までしたことされたことのwordで作成したメモを用意して行きました。このメモを用意していったのは成功で、話がスムーズに進むことになりました。
人権センターが聞いてきたのは、教師の発言や行動が法律的な観点から問題があるのかどうかという点や、公平に見て行き過ぎた行為ではないかという点をよく見ていたと思います。
僕達代表者と話を終えた後、他にも話を聞く必要があるということで別学年の学生何人かが招かれました。その後は教授とも話をしたようです。
呼び出すときは、教授側には何も伝えずに、内容は伝えられないがここに来い!というふうにメールを出すそうです。教授の方も予定がありますので、これが終わるまでの段階で1カ月以上経過しました。
人権センターのスタンス
人権センターのスタンスは基本的に中立です。こちらの意見も聞きますが、教授側の意見も聞きます。確かに、間違った判断を下さないためにも大切なことだと思います。
私たちの場合は、研究室の学生全員で相談したということなので、各学年(学部4年、大学院1年、大学院2年)から最低1人は話を聞かなければなりませんでした。これとは別に教授からも話を聞きます。名目上は両者の意見を聞いて判断するということですね。
しかし、これは面談時に思ったことですが、人権センターの中立というスタンスは、相談者の数が複数名以上でないと成立しないように感じます。教授1人に対して学生1人の意見だと、どちらの意見を信じてよいのかわからないため、最終的には第3者に意見を求めることになります。
第3者の意見一つでこちらが悪者になる可能性もあるということです。
一方、学生側が多数であれば、それだけ説得力が増しますから、いくら中立とは言っても学生側に意見が寄ります。ですから、だれか一人が集中的に被害を被っている場合でも、周りの協力を得たり外堀を埋める作業は必要です。
私たちの場合は、学生側の意見が一致していたこともあり、スムーズに話が進みました。
人権センターにできること
学生側、教授側の面談が終わると、学生側が今後なにをしたいか、教授側はどのような処分を受けるのかという話になります。
僕たちが、教授側がこれまでやってきたことをwordにまとめている段階で、「これ一発クビじゃないの?」と思ってしまうようなものも多々あり、相当重い処分になるのだろうと予想しました。
しかし、人権センターの回答は意外なもので、そもそも人権センター単独で処分を決めることはできず、大学の一番上(本部)に報告して、処分を決めるのはすべてその機関であると言うのです。
僕たちが相当ひどい処分になるという予想を話したら、人権センター側の方が言うには、「ほとんど処分がないのではないか」という回答が返ってきました。これには驚きました。
さらに、例え自殺者が出たとしても、教授が直接的な原因であると確定しない限りは辞めさせられることはないのではないかと言うのです。
確かに、大学側としては、教授のような他に任せることができない仕事、研究をしている人間が一人抜けてしまうことは相当痛手になるのでしょう。
しかし、自殺者、退学者が出てからでは遅いですし、困っているから相談しているのにこれだと人権センターの存在意義がわからなくなります。
結局、人権センターに相談しても教授側をどうにかすることはできないということです。
そこで、次に学生側がどうしたいのかという話に移ります。
教授はそのままの状態で研究室にいるわけですから、当然研究室は今までと変わらないままということになります。人権センターとしては、教授と話して態度を改善させるということを提案してきましたが、それで直るようなら相談しに来ませんよね。
ここで僕が提案したのは、「研究室の移動」でした。
結果的にこうなった
僕の提案した「研究室の移動」はどうやら学校側としても比較的穏便な解決法だったらしく、すぐにその方向で話がまとまりました。
向こうとしては、学科内での研究室移動はあくまで学科内の問題で収まるため、問題が大きくならずに安心できる。こちらとしては、相性の良くない教授と別の場所で研究が続けられるということです。確かに今までの教授と離れられることは、僕らとしても大きなメリットです。
ただし、ここで気になることは、教授側にデメリットがあまりなく、根本的な解決になってないという点です。学生が少なくなったところで、研究室に学生は入ってくるわけですから、またその学生を使い倒すというのは目に見えています。
また、大学院1年生で研究室の移動をすることは相当な勇気がいります。基本的に前の研究室で出した成果は白紙になります。
僕らの移動先は、偶然使っている装置や基本的な理論が近いところに配属されたのでよかったですが、そうでない場合はかなり忙しくなるのではないでしょうか。
新しく始めたことで、通常よりも短い期間で修士論文を書くのはなかなかハードということです。まぁ今までブラック研究室に配属されて耐えていた学生なら余裕かもしれませんが…
一応研究室の移動という方向で話は進めましたが、いささか疑問の残る結果となりました。
よかったこと・だめだったこと
まだ現時点では、教授側の処分が確定した段階ではありませんが、僕たちの研究室は成功しました。これまで行ってきた行動を振り返ってよかった点とだめだった点をまとめてみます。
研究室について悩んでいる人がいたら参考にしてもらえればと思います。
よかったこと
◇教授から離れることができた/研究室の移動ができた
やはりこれが一番でしょう。いろいろ遠回りはしましたが、研究室の移動に成功したのは最もよかったことです。
すべての大学でこのような対応をしてくれるとは限りませんが、あまりにも教授が横暴な態度をとる場合は、研究室の移動はできるのではないでしょうか。
ただし、注意しなければならないのは、教授から離れることができたとしても、新しい研究室でしっかりやることはやらなければなりません。
移動した学生の中には、そこを勘違いしている学生もいます。移動した後に怠けてしまうようだと、新しい研究室にその学生の居場所はありません。教授が変わること以外のメリットはないというくらいの考えを持ちましょう。
◇教授の行動を外部の機関に伝えられる
前回の記事でも書きましたが、研究室とは非常に閉じられた空間です。その特殊な空間だからこそ、教授側も何をしてもよいという風に錯覚を起こしてしまうのかもしれません。
例えば、他の教授がいる学会の場であったり学科内会議などで怒り狂うことは(普通)ありませんよね。
今回、人権センターという外部の機関を頼ったことにより、教授側も外部からの目が向けられていることに気づきました。これ以上派手なことをすると、いよいよまずいのではないかという意識を持ったのであれば、これは大きな成果ではないでしょうか。
だめだったこと
◇根本的な解決ではない
これは先ほど書きましたが、学生から人権センターに相談したとしても、教授側にはデメリットがさほどないです。そして、教授側がもし、「この程度の処分なのか」と思ってしまった場合、研究室の状態がまったく変わらないこともあり得ます。
また、根本的なことを考えると、学生が問題を相談しに行ったのに、学生側が研究室を移動するのはおかしい話ですよね。学生側が研究室を移動するメリットは、教授から離れられるという点以外にはありませんから。
それ以外にも、教授がそのままの状態で研究室の学生が少なくなったときに、被害を受けるのは残された学生たちです。僕はそれが一番の心配でした。
つまり、教授側がなにか本当に大きな問題を起こさない限り、人権センター側が本気で根本的な解決に取り組むことはほぼないということです。
これは相談して一番がっかりした点です。
◇時間が掛かりすぎ
私たちが人権センターに相談を始めたのが今年の9月はじめだったのですが、面談がすべて終了して話がまとまる段階で10月おわり頃になっていました。
およそ2カ月間、教授と学生は今までの状態で過ごしていたわけです。少し時間が掛かりすぎかなという印象です。
時間が掛かった原因は、学生と教授、人権センターでそれぞれ予定を合わせて面談を行っているため、予定が合わない分だけ次の面談が後ろ倒しになってしまうからです。
仕方ないと言えばそれまでですが、中には緊急を要する場合もありますので、そこらへんも考慮してほしいですね。
本当に困ったら研究室に行かないというのも有りだと思います。ストレスで寝込んでしまう方もいるそうですから。
最後に
前回も書いたのですが、大学内の研究室というものは非常に閉じた空間です。馬車馬の如く働き、帰宅しないで研究を続けていたとしても、その空間にいる限りは、「つらいけどまだ大丈夫かな」と思って耐えてしまいます。
そして、自分では大丈夫と思っていても、そのまま働き続けて、家に帰ったら学校に来れなくなっていたという人が非常に多いです。
研究室にもそういった方は居ましたが、あるときふっ と「俺何してんだろ」という感覚になるそうです。
好きでやっているのであれば良いのですが、特に理不尽な労働や愛のない暴言、信用できない教授には付いて行っても時間の無駄です。
現状に違和感を感じている方がいるのであれば、研究室内に協力者を作り、大学に設置されている相談センターへの連絡をオススメします。
しっかり機能している機関であれば、少なくとも、今よりはいい状況になるのではないでしょうか。
今回はこんなところで。ではでは。
コメント
アカハラ?というのでしょうか。
もう耐えられなくて死んでしまいたいと思っています。
辞めるという選択肢ができず、死を選びたくなるのは、自分が辞めることによる多方面への影響を想像できてしまうからです。
私は研究がしたいのに、研究させてもらえません。
教授の業績整理やTA(ほとんど私が授業しています)、教授の本の執筆、教授の論文の執筆、学会の運営などなど。そのようなことをして毎日過ごしております。先生のスケジュール管理も行なっており、秘書のようなことをしているのだと思います。
このような毎日なので、自分の勉強や研究に割ける時間がなく、その上教授には嫌味を言われ続けます。
いっそ自分がいなくなって困らせてやろう、と思うのですが、それをして一番困るのは自分だと理解しています。
就職先も教授に決められた所へ行かなければならず、卒業しなければ会社にも迷惑をかけてしまいます。
4年間我慢してきましたが、もう限界なようです。どうしたらいいでしょうか。
助けてください
返信が遅れてしまい申し訳ございません。
こちらの記事を書かせていただきましたくびです。
コメントを拝見させてまず感じたことは、院生さんが真面目で責任感の強い性格であることと、その責任感から自由に行動が出来ないということです。
非常に厳しい状況であることを承知の上で私が言わせていただきたいことは、あなたが行うすべてのことについて、学生であるあなたには責任はないということです。
①自分が辞めることによる多方面への影響を想像できてしまう
→あなたには責任がありません。指導教授に責任があり、その影響の対処は教授がやるべきです。
②就職先も教授に決められた所へ行かなければならず、卒業しなければ会社にも迷惑をかけてしまいます
→卒業しなかったときに迷惑を掛けるのは、あなたを管理していた指導教授であり、あなたに責任はありません。
企業は1人内定者が減ったのみで、再び募集をかけるだけです。
また、あなたは大学を辞めることで自分が困るということを心配されているようですが、私は半分正解で半分間違いと言った感じだと考えています。
私も大学で研究室を移ったあとは、中途半端な研究成果であるがために就職活動で苦戦を強いられています。大学院の途中で退学するという場合もおそらく同様に苦戦を強いられることは予想されます。
ただ、それは取り返しのつかないような失敗ではありませんし、あなたのような責任感があり真面目で優秀な人材を取りたくない企業の方が少ないと思います。
院生さんが悩んでいるのは、それくらいの些細な問題です。
人権相談センターに相談するでもいいですし、場合によっては退学するというのもいいかもしれません。
今を犠牲にするくらいならそちらの方がよほど良いと思います。
本当に苦しくて見動きが取れないというのであれば、研究室に行かずにスマートフォンの電源を切り、普段行かないところへ行ってみるといいかもしれません。
まずは少しでも自由な気持ちになってみて下さい。
長文になりましたが、参考にしていただければ幸いです。