理系大学院生が就職について不安になり始めた話

こんにちは。

今回は理系大学院生の視点から、就職に対しての不安や会社に思うことを書いていきたいと思います。

いきなりではありますが、大学院にまで進学して、そこそこのコミュニケーション能力があれば、就職で失敗することはあまりないと考えています。

しかし、それと就職先がいいかは別の話です。

「あれほど優秀だった人が、大手会社の平社員止まり」

「あれほど残念だったやつが、会社では活き活きしている」

このようなことはよくあるそうです。

今回は就職や企業についての実情を、OBの方から聞いた情報などから、就職について考えます。

理系大学院生の就職状況は

僕自身は、国立でもなく有名私立大学(MARCH)以上の大学へ通っているわけではありませんが、それでも理工学部卒は非常に就職しやすい方だと思います。

大学院へ進まずとも、大学卒であって、かつそこそこのコミュニケーション能力があれば、就職には困らないと思います。

それはもちろん、大手企業を狙ったりとか有名な中小企業を狙ったりなどしなければ、の話ではありますが、早めに就活を始めていれば、ブラック企業を避けつつ就職することは困らないと思います。

さらに大学院まで進み、やはりそれなりのコミュニケーション能力があれば、中小企業以上はほぼ確実でしょう。実績のある学科は特に、企業からの推薦枠が多めに設けられています。

これだけで院生の半分以上は決まりますし、そうじゃなくてもOBの方からの紹介ですとか、教授からの紹介などで決まることもあります。このようなことを考えると、就職すること自体は難しくないことは明らかではないでしょうか。

ですから、指定校枠があり就職し易そうな会社について情報を調べるのですが、ここで気を付けなければならないことがありました。

会社情報に平気で嘘が書いてある

会社について知りたいとき、ホームページを調べたり四季報を見たりすると思います。

それを調べると、月間残業時間がどれくらいか書いてありますよね。中小企業は特にそうですが、あれは平気で嘘が書いてあります。

上司によって、残業時間をつけるなと言っている人も平気でいます。世代的に、残業は当たり前だと思っている人も多いようで、そういった姿勢が公表されている残業時間とのギャップを生んでいるのでしょう。

これと同様で、有給取得日数もごまかされることが多いです。ですので、福利厚生などについて、ごまかしがきくような情報を本当に知りたい場合は、インターンシップに参加して社員の話を聞いたり、OBの人から聞くのが一番です。

会社に載っている情報も文系が大半を占めているものも多いので、そこらへんの事情もきいておきたいです。

古い体質の日本企業がまだまだある

上記の話にかかわることですが、日本の企業は古い体質のものが多いです。

それがよいかどうかは人によるとは思いますが、現代の日本人の働き方に即していないのは間違いないと思います。

その体質とは、今までの企業で一般的であった終身雇用の考え方から来るものです。就職した人がその企業にそのまま働くものといまだに思っている考えがいまだ根付いているところがあるようです。

僕のまわりにいる理系大学院生はそのことについてあまり深く考えていないようですが、せっかく優秀な人材であるのに、能力に見合わない給与や待遇となることがあるかもしれません。

今いちど理系として次の事柄について考えます。

理系の待遇が良いかどうか

まず、理系が文系の人たちと対して待遇がよいかどうかについて疑問に思ってます。

僕の考え方としては、文系の、営業やマネジメント、経営や採用担当などはもちろん会社に必須なのはわかりますが、理系の技術職も必須だと思っています。

研究においても、一人抜けただけでかなりの不利になることも理系の大学院生の方はわかっているのではないでしょうか。極端かもしれませんが、ほとんどの会社を根本的に支えているのはエンジニアです。

文系・理系それぞれの方からお話を聞く機会があったのですが、就職したあとの待遇が文系の方は優遇されているのではないかと思います。

理系はまだまだ存在感を発揮できていないのかと改めて感じました。

え、そんなに悪くないでしょ!って思いますか?

もちろん一部の特別な技術を持った人は優遇されますが、一般的にはまだまだ優遇されていないのではないかと思います。

そもそもの話にはなりますが、平均年収についてまず疑ってみて下さい。

例えば、株式会社○○○ホールディングスという会社があったとします。そして、検索するとその会社の平均年収が表示されます。

間違った見方をすると、自分がここに入社すれば、平均年齢に達したときにおおよそ平均年収もらえる、というように考えてしまいます。

そうではありません。

本社にいるのはエリートたちがほとんどで、しかも経営に回るような文系の人ばかりです。

技術職は工場にいます

つまり何が言いたいかというと、本社勤務の高給のエリートと工場勤務の薄給のエンジニアがいる、ということです。

年収について考えるときも、よほど優秀で出世しない限りは理系個々の平均年収を参考にするべきです。自分の理想よりも一回りも二回りも少ない年収になる可能性が高いです。

では、そうして考えてみたときに、もう一度、文系の人たちと対して待遇がよいかどうか考えてみてください。それは、残業であったり給与面での伸びであったり様々ですが、理系の待遇が良くない会社は確かにあります。

福利厚生は充実しているのか

最近自殺や鬱などでますます見直されているのが残業や休日出勤の問題です。

非常に残業が多くてライフワークバランスとは無縁のような会社も少なくないです。

そういうのが好きな人ももちろんいますが、そうでない人は心身のバランスを崩して休職する可能性もあります。

仕事が楽しければそうでもいいかもしれませんが、労働した対価をしっかり貰える会社を選ぶことが大切です。

それは、そういった会社では、

✖仕事を任せてもらえる→上司の評価が上がる

のような順当なものではなく

〇仕事を押し付けられる→便利な人と認識される→仕事を押し付けられる

のような構図になりかねないからです。

有名大手企業から来た教授が、会社で教えられた言葉のなかに

「忙しい人にこそ仕事を任せろ」

という教訓があるそうです。

そのような、人を「馬車馬の如く使ってやろう」とする認識が大手企業の中でも当たり前のように浸透していることに疑問を覚えます。

  1. 同期の中でも仕事をしない人が生まれるため、その人材が育たないのとモチベーションがさらに下がる
  2. 一度仕事をこなしてしまうと、上司の中でも仕事を任せていいというレッテルを貼ってしまうためさらに仕事を任され、断れない人は無限ループが始まる
  3. それを見ている同期が、自分が仕事をうまくこなさければ仕事が回らなくなるので、そっちの方が楽に働けるのだと自覚し始める。出世しないでも今の生活に満足している場合、最悪の状態になる

この流れは、ブラック研究室で経験した、世の中の真理ではないかと感じています。一種のバイト感覚になってしまっているのです。

これを解決する方法は、

  1. 仕事をしない人を辞職させる
  2. 残業しているときに他の人が協力する体制を作る
  3. 無駄な時間の種を失くす

専門家でもないですし、マネジメントを勉強したわけではないので、具体的なことは言えませんが、このような方法になるかと思います。

で、日本の企業が現実的にできるのは3だけだと思っています。これは企業側の意識の問題ですが、実行に移せている企業の方が少ないみたいです。

そもそも社員のモチベーションが低いと話になりませんが、まず企業側から残業を減らす努力が大切かと思います。

「終業時刻になったら電源を強制的に落とす」という少々過激な方法を取っている企業もあり、これについて否定的な意見が多いようですが、これはすぐに実行できるものの中ではかなり効果があるのではないかと思います。(もちろん成果を出すための経営陣の努力は必要不可欠ですが)

理系の働き方も、会社の上に立っている文系の人間が、理系をどうとらえているかで変わってくるそうです。

本社勤務だけが待遇いいなどはもちろんダメですよね。

有能な人ほど転職考えてしまうわけです。

その会社はステップアップしていけるのか

こういう書き方をすると凄く意識が高いような気がしますが、大切なことです。

その就職先は次のような人材になれるか、ということを考えてみてください。

唯一無二のスペシャリスト、もしくは、優秀な営業職、アフィリエイト、エンターテインメント

ここでのスペシャリストというのは、これまでの知識を生かして新しい価値を生み出すようなレベルの人材を指します。

現在話題に事欠かない人工知能というのは、確かに考える力のようなものが進んでいるのはわかりますが、それでも今までにないような新しい価値観、ものづくりや、人の感情に左右されるような営業やアフィリエイト、エンターテインメントなどは手が及ばないのではないでしょうか。

理系について言えば、特にこの中でもスペシャリストになれるような環境が整っているかどうかは非常に重要な点になります。

技術職でも、設計、デザイン、品質管理、開発、など様々な分野がありますが、その分野に専念できるかどうかが大切だと思います。

さきほどの「無駄な時間を失くす」という話がありましたが、会議の資料作成や上司との意思疎通、長すぎる会議や多すぎる会議などで時間が潰されると、それだけステップアップが阻害されてしまいます。

大学の研究室でもこの傾向は大いにあって、自分の分野とまったく関係ない班の会議に3時間ほど付き合わされることも多々ありました。(経験がある人は多いのではないでしょうか)

会社に入ってからもこのようなことはしたくないですよね。

逆に、このような考え方がないと、これからの時代は仕事がなくなってしまう可能性が提言されています。

仕事にもいろいろなものがありますが、単純作業やしらべごと、資料作成やちょっとしたプログラミング、既存のシミュレーション専門の人なんかはやばいかな、って思います。

それらの大半は、遅くても20年以内に人工知能に置き換わる、なんて言われています。

これはすでに起こっていることです。

技術としてはもう完成しているので、実用段階に移すところまでもう来てます。

プログラミングの方向性を決めれば勝手にプログラミングしてくれる。

こんな機能の新しい材料ほしいから探して!って人工知能にお願いすると、データとシミュレーションを使って勝手に新材料を見つけてくれます。

どちらもすでに実績を出しているそうです。

理不尽な会社に入りたくないだけ

もはや不安というか愚痴のようなことを書き連ねましたが、結局何が問題なのかというと、合理的ではない会社がいまだにあるということです。

なんというかブラック研究室と似ている気がします。

ブラック研究室は僕らの卒業を人質に取ってます。

古い体質の企業は僕らの退職を人質に取ってます。

ですから、明らかに無駄なことをしたり、残業前提の働き方をしているのに、それが理不尽でも言い返すことが出来ません。

結婚してる人なんてまさに人質を取られているような感覚ではないでしょうか。企業面接のときに付き合っている人はいますか?と聞いてくる面接官がいるようですが、婚約者という人質を取ろうと考えているのではないかと考えてしまいます。(さすがに言いすぎ?)

そういった恐怖から逃れるためにも、理系はすぐにでも転職できるスキルを身につけなければいけません。

結局、楽しく暮らせればそれでいい

理系の待遇が良いとか悪い、福利厚生、ステップアップなど様々な内容を書きましたが、結局、その人が楽しければそれでいいとは思います(すみません!)。

ただ、OBの方を見ていても、理系の人は楽しそうに仕事している人が少ないです。問題はそれぞれあります。

給与は悪くないが福利厚生がダメ、福利厚生については妥協できるがステップアップできないなど。それらを全部満たしている会社が理想ですが、まだ能力のわからないただの学生では、よほど会社を調べていない限りはそれを見つけるのは難しいでしょう。

中位の大学に通ってる人に許されるのは、どれかを切り捨てることだと勝手に思ってます。

教授世代の感覚だと、やはり大手に入るのが良いと考えている人が多いようですが、自分が譲れない条件を設定しておけば、大手が必ず良いというわけではないというのも是非知っておいてほしいと思います。

今回はこんなところで。ではでは。